その頃殿様一行は…無事に下関市街地に入って来た。

「十兵衛殿…賊は、襲って来ませんぞ」

江戸から殿と同行していた家臣は、ガセじゃ無ぇのか?って顔してる。

「いや…こちらが守りを固めておるんで隙を伺っておるのであろう」

そう返事しつつ

敵の足止めをしている狭霧達を褒めなくてはならない苛立ちを隠せなかった。

何故なら非常事態だってのに後ろの籠では殿に化けた朧が高いびきでぐっすり眠りこけてるからだった。