"パカパッ、パカパッ、パカパッ…ヒヒィ〜ん"

やかましい馬だ。

「開門、開門んっ〜!」

早馬で十兵衛の屋敷に飛び込んで来た男が大声で叫んだ。

「早馬とは、穏やかでは無いな…何事だ!」

十兵衛も慌てて門の前に走った。

早馬の男は、十兵衛の顔を見るなり

「御家老…江戸表より…はぁはぁ…の使者に…はぁはぁ…ございます。まずはこれ…を…っ…」

早馬の男は、よほど飲まず食わずだったのか…十兵衛に手紙を渡すとその場で倒れこんだ。