「お待たせっ」
「カンナお前すげーよ」
「え?」
「モデルみてぇ」
「や、やめてよ」
夕焼けの中でも分かるくらい
拓真の顔は真っ赤で
そんな拓真をみると
自分までも体が熱くなって
火照った顔を隠すように
あたしたちはゆっくり祭りまでの
道を歩いた。
15分ほど歩くと
両サイドにちょうちんが掲げられた
1本道になり、拓真の後ろについて行く
浴衣に下駄姿のあたしを気遣ってくれてなのか
いつもよりゆっくり歩き
たびたび後ろを振り返ってあたしを確認する
拓真の背中はいつもより大きくたくましく見えた
「よっしゃ祭りだ~」
拓真が声を上げるから
ひょこっと拓真の横から顔を出すと
薄暗い広場一面にぶら下がるオレンジの明かりが
屋台を照らしていて
さらにたくさんの人が練り歩いていて
久しぶりに見る人ごみの光景だけど
お祭りというマジックのおかげで
あたしの心はわくわくしていた
「取り敢えず歩くか」
「うん」
するとスッと目の前に差し出された手
"ん?"と首をかしげると
「カンナ迷子になりそうだから」
といたずらっ子ぽく笑って
強引にあたしの腕を掴むと歩き出した
いつもは優しい拓真の
ゴツゴツした手が掴むあたしの手首は
色んなドキドキが重なって
じーんと熱くなった

