魁部隊

隊長が眉をひそめた。


「敵はいないと?」


「はい。さすがに国境を越えた先までは調査には至っていませんが、少なくともこちら側には、何者かが侵入した形跡はありません」


「では、何らかの理由で、我々を屯所から遠ざけた……、のでしょうか?しかし、何故……」


胸騒ぎがする中、隊長が口を開いた。


「とにもかくにも、無断でここを離れるわけにもいかんだろう。律くん、すまないが、屯所の様子を見てきてくれないか。直紀のこともあるが、屯所に何か仕掛けられているかもしれん」


「承知しました」


返事をするや否や、しゅっ、と律くんは再び木の上へ消えた。


……ほんとに忍者みたいだな。


「とりあえず、あと少しもすれば暗くなって、敵がいようがいまいがお互いに戦闘不能となるでしょう。いっそのこと、出てくるなら出てこいで、先程上がった場所で身体を休めましょうか」


副長が言った。


「私が怪しいと言い出したのに矛盾しているようではありますがね」


「いや。敵がいなければ我々もどうすればいいか判断のしようがない。出てきてくれるならそれでいい。体を休めつつ、警戒をしていればいい」


あたしたちは結局、元来た道を少し戻り、木が生えておらず丸くぽっかりと空いた空間に、それぞれ腰を下ろした。