「今朝早くに、出陣命令が出た」


隊長は、もったいぶることなく、率直に用件を切り出した。


「出陣命令!?」


案の定、皆の口から驚きの声が漏れる。


「銀部隊を殲滅するのですか?」


颯さんがもっともなことを聞くと、副長が顔をしかめながら首を横に振った。


「たとえそうだとしても、王都の中に屯所を構えている銀部隊に戦いを仕掛けるのは至難の技でしょうね。王都のなかで戦争を起こすなど、誰も許可しないでしょうし」


「今回出陣命令が下ったのは、ここより北へのぼったところにある国境だそうだ。そこに、我らの土地を狙う異国の軍が迫ってきているらしい」


「異国ぅ!?」


今度こそ全員が絶句した。