「そういえば……すっかり頭から抜けてしまっていた」


「それは本当ですか?」


副長の問いに、あたしと颯さんは力強く、はっきりと頷いた。


「分かりました。それも、報告内容に含めておきましょう」


副長はそう言った後に、隊員全員に向けて指示を出した。


「これからは、これまで以上に厳戒態勢を維持すること。それから、なるべく一人では行動しないようにしなさい。特に明里さんは、常に誰かと一緒にいること」


「はい!」


「それから……」


隊長が口をはさんだ。


「今の話は、直紀には内密にしてやってはくれないか。今のあいつに、精神的な負荷までかけたくはない」


その言葉に、誰一人反論することなく頷いた。