寒い道場の中で、あたしは一人、自分の刀を並べて眺めていた。


一つは、隊長に買っていただいた、真新しい、刀。


そしてもう一つは、あの、子供の頃、草むらで知らない男の人にもらった、刀。


この前の襲撃事件の時、琥太郎はどうだか知らないけど、あたしは、咄嗟にこちらの、古い方の刀を握っていた。


深い意味はないけど、たまたま手が当たったのがそちらだっただけ。


でも……。


人獣について、気になることがあった。


そのとき、ガラッ、と音がして、道場の扉が開いた。


「……ここにいたのか」


入ってきたのは、颯さんだった。


「……颯さん。どうしたんですか?今日はお休みじゃ」