「まあいいや、おふざけはここまでにして……ほんとどうしたの?こんなところにいちゃ危ないでしょ?」


顔はにっこり笑ったままだけどどこか真面目な口調に、琥太郎が口を開いた。


「えーっと、ちょっと用があって」


「用だと?こんな夜中にか」


「はい颯は黙ってて」


「んだと奏多」


もう一人は奏多さんというらしい。


「そんな睨みをきかせてすごむのは本当の悪人から聞き出すときだけにしてよねー」


「うるさいな。元々こういう顔なんだよ」


颯さんはぷいっとそっぽを向いてしまった。


なんかちょっと子供っぽい。癖のついた長めの茶髪が、颯さんの動きにつられてふわふわと揺れた。


対照的に、暗闇でも光を放っていそうな綺麗な金髪を後ろで一つにくくった奏多さんは、困ったように言った。


「ごめんねー。こっちも仕事だから、放っておくわけにはいかないんだ。別に君たちを疑ってるわけじゃないけど、ほら、ね?こんな時間だし」


その奏多さんの台詞の一言がひっかかって、すかさずあたしは突っ込んだ。


「仕事って?」