「律との試合、見ていたが、隊長もおっしゃっていた通り、悪くはなかった」


「……」


「今はこれで終いにするが、稽古時間以外でも、声をかけてくれてかまわん。木刀はあそこに戻しておけ」


言うだけ言って、颯さんはさっさと道場を出ていってしまった。


「悪くはない……か」


誉めてるのかよくわからない言葉だけど、きっとあれは颯さんなりの誉め言葉なんだろうな。


いつでも声をかけてくれて良いとも言ってたし、怖い人かと思ってたけど、案外面倒見のいい人なのかも。



……最も、あたしが声をかけるまでもなく、颯さんの方から度々呼び出しがかかるのだが、それはまた別の話。