あれは、13年前の秋。
私は、宮本優美香。当時23才でした。

社会人になって、3年。
仕事にも慣れて来て、いや、飽きてきた頃。
半年付き合っていた彼氏に
「優美香の事好きだけど、俺まだ、仕事に打ち込みたい」と振られた。

彼氏は、そこそこのイケメンだった。
振られた理由はそれじゃなく
他に好きな人ができたんだ。と後から知った。

好きだったのに…

でも、強がりな私は、あっさりと別れを受け入れてしまった。


そして、彼氏と別れた1週間後、会社の親睦会の二次会でのこと。

「えーー!なんでー!?あのイケメンと別れたの??」

『ちょ、ちょっと、舞ってば、声おおきいから!』

「だってー!超イケメンだったじゃん!なんで?!」

『…だから、人の失恋を大声で公表しないでくれる…?』

この声の大きい舞って子は、同僚で同期の吉岡舞。

『だって、仕事が大事なんて言われたら、何も言えないよ……それに、やっぱりイケメンは疲れるし…』
と、私は悲しいのに精一杯強がった。

「浮気された?」

ホント、この子は鋭いのか、無神経なのかよくわからない…

『もー、いいじゃん!終わったこと!次に進まなきゃ!よーし、飲むぞーーー!』

「だね!私らまだ若いんだから!色んな人と出会わないとね!」

この子は…心配してくれてるのか、楽しんでるのか…
まぁいっか…

そして、私達は上司たちとは、ちょっと離れた下の席で、飲み始めた。