何故か今日もアカネは話しかけてはこなかった。まあ、その方が私にとっても平和でいいことなのだが、なんでか、不安になる。
ヒカル君とすれ違う。
「おはよう」
爽やかなスマイルで挨拶をしてくれた。
「お、おはよう。」
それとは反対にひきつった笑顔で挨拶をする私に優しく微笑み、ヒカル君は教室へ入っていった。

「はぁーーぁ」
机に突っ伏した私にみんなの視線が突き刺さる。と、同時に聞こえてくるコソコソ話。ちら、と耳にした単語は「ヒカル君」「振った」
と言うのだった。
「ちがーーう!ふってなぁーい!」
と叫びたかったが、無論、今まで無口キャラだった私が叫んだらそれこそ冷ややかな目で見られるのは目に見えていた。
「今日もヤなこと起きそうだな。」
そう呟いて、授業へと望んだ。