フルーツを買い忘れたのは嘘。


私が優斗のお母さんと2人で話したかったから。


本当はものすごく恐いけど…


だって優斗のお母さん、私の事絶対嫌ってるし。


でも優斗のためだと思うと、私ってなんでも頑張れちゃうんだ。




303号室。


3回ノックをすると、「はい」と中から優斗のお母さんの声がした。


やっぱりちょっと緊張してきた…


握っていた拳に力を込める。



「し、失礼しますっ」



優斗のお母さんはベッドに横たわったままこちらを向いた。


そして私の姿を見て驚いている。


「あなた…どうして?優斗は!?」


「あのっ…優斗はもうちょっとしたら来ます!その前に…お話がありまして」


お母さんは再び窓の方に顔を向けた。


「話?あなたと話すことはないわ。どうせ二人の交際を認めてとか言うんでしょ?」