「先生っ!向こう向いててください!」 「今更ですか……。 ていうか、“先生”って。」 先生は不満そうに、あたしに背を向けた。 「あの、ありがとうございました。 助けてくれたこととか、いろいろと。」 「いえ、普通のことですよ。」 さっき、いつもは“僕”っていってるのに、“俺”って言ったり、敬語を使ってなかったりした、少し男らしい先生を見た。 あのときは、いつもよりたくましく見えた。