「いえ、大したことじゃないですよ。 柊さんは、なにか得意なこと、ありますか?」 いやいや、大したことですよ。 などと、心の中でツッコミを入れながら、先生との会話は続ける。 「絵です。 得意というか……、好きなんです。」 「好きなことがあるのは、いいことですよ。 今度、見せてください。柊さんの絵。」 「はい。」 「……そういえば、柊さんじゃなくて、もう桜庭なんですよね。 でも、桜庭さんって呼ぶのは……。 明梨嗄さんでしたよね?」 「はい。」