俺は初めて恋をした。
そいつの名前は稲垣葵。
とにかくふわふわしていて可愛くて、守ってやりたくなるようなやつだった。
知り合ったのは、俺が部活帰りに歩いていると目の前におばあさんがいて何か困っている様子だった。
いつもなら通りすぎるだけだったが、今日は気分がよかったため相手をすることにした。
そう決意した次の瞬間に、女の子が来ておばあさんに話しかけていた。
ニコニコと笑顔を絶やさない彼女に、俺は一目惚れをした。
やがて、おばあさんの荷物を持つことになったのか明らかに重そうな荷物を持った。
案の定彼女は、フラフラしていて今にも倒れてしまいそうだった。
だから俺は、話をするために彼女に近寄って荷物を持ってやろうと近寄った。
俺が荷物を持つと、彼女はビックリしていた。
そりゃそうだろう。
いきなり軽くなったと思ったら、隣に男が立っていたんだから。
だから俺は声をかけた。
俺が持つからって。
そう言うと彼女は驚くほど綺麗に微笑んだ。
それはもう天使なんじゃないかと思うくらいに。