「それは……」
口ごもるから、やっぱりなにかあったのかと思った。
「ほら。言えない」
「千花さんのこと知りたかったからですよ」
「え?」
「俺がなに言っても千花さん話逸らすから。金子さんから色々聞き出してただけです。それ以上、あるわけない」
「……」
「俺。初めて片思いしてます。こんな女みたいなことすると思わなかったし。…去年の花見からずっとずっと好きでした」
「……そんなに前から?」
「あの日の自転車の後ろに座ってた千花さんが忘れられなかったんです。桜の中にいる千花さんが綺麗で忘れられなかった。お願いだから。そろそろ、俺に堕ちて下さい」
不意打ちで唇が重なった。
やっぱり優しくないキス。



