どのくらいそうしていたんだろう。 くっついてた身体が離れた。 広重の生真面目な顔は夜に溶け込んでるみたいで憂いさがある。 その瞳に映っていることでさえも恥ずかしく感じてしまった。 それから無言で、私の手を取り歩き出す。 振り払おうと思えば振り払えるくらい、そっと。 だけど、それを追いかけるみたいに、私も歩き出す。 広重は女の子をいつもこうやって誘うのだろうか。 なんとなく。 噂が絶えないのも分かった。 だって、キスしただけで、一夜限りでもいいかもって、私が今思ってしまったのだから。