「へっ?」 また口をポカンと開けてしまったのだと思う。 その一言に固まってしまった私を広重は抱きしめて、それからキスをした。 段々と激しさは増すのに、拒めなかった。 唇の隙間から割り込む舌。 最初は強引。 段々とその舌先が熱く感じて気持ち良くなる。 だからか、私も受け入れてしまう。 キスに身を委ねてしまうと、簡単に溶けてしまいそうだった。 優しくないキスなのに。 目を閉じても分かった。 花弁が舞い落ちているって。 顔に何度も触れるくすぐったさ。 広重の鼓動だって静かに伝わってくる。