「ねっ。千花さん」 「ね、じゃないよ」 「なにもしませんよ」 「そんな男いないと思う」 「じゃあ。キスだけでいいです」 「なにそれ。やっぱり下心あるじゃん」 そう言った隙に、私の唇を奪った。 「広重?」 「口ポカンと開けて桜なんか見てるから。隙だらけなんですよ」 「隙だらけって。……今、見てたのは広重だよ。ていうか、キスなんかしないでよ」 「千花さんが悪い」 「人のせいにしないでよ」 「……その続き、欲しくなりませんか?」