タバコが切れてしまった。ついでに化粧でも直そうと鞄ごと持って席を立つ。
レジ前の自販機に行く間、酔っているのかこけそうになった。
そんなに呑んでないのに。
だからか早く帰りたいようで。だけど、隣に田原さんがいるからまだ帰りたくないような微妙な心境。
話を聞く度、切なくなるだけなのに。
タバコを手にして振り返ると、金子さんが後ろに立っていた。
最悪だ。
あっちもそう思っているのが顔に出てる。
「遠山さん、タバコ吸ってたっけ?」
「うん」
「ていうか、遠山さんと二人で話すの久しぶりだね」
「ああ。そうだね」
「今日、遠山さんが来るとは思わなくてびっくりした」
「私も場違いな感じがしてるけど」
「入社時はよく呑みに行ったよね。同期のメンバーとさ」
「そんなこともあったっけ」
「結構辞めちゃったもんね」
「……うん」



