身体が熱くなる感じがした。 たぶん照れくささとか、こんな所でキスをしている後ろめたさとかそんな複雑な感情が混ざっているからかもしれない。 恥ずかしい。 キスが終わると、優しく笑う。 「お疲れ様でした。気をつけて帰って下さいね」 「……うん」 広重の背中を見送ることができずに、ドアが閉まる。 どうにか一階のボタンを押すと、力が抜けて、しゃがみ込んでしまった。 早鐘を打つ心臓が自分のものとは思えないくらい、うるさい。