「また降りるの?」 何か買い忘れたものでもあるのか。 そのまま一階を押そうと思ったら 「忘れ物」 と、広重は私の頬にキスをした。 「えっ?」 突然のことでびっくりしたせいか、身体のバランスがとれずによろけて背中を壁に預けてしまった。 情けない。動揺してると思われる。 「俺、諦めてませんから」 見つめあったまま広重は言う。キッと睨んでみるけど、広重はすごく真面目な顔をしていた。 「本当に本気ですから」 「……本気って」 言い返す言葉を言わさないみたいに、今度は唇にキスをした。