「いいよ広重。担当カメラじゃないんだから、あとはこっちでやるよ。不具合出してもらっただけで助かった。だから早く帰りな?」 「千花さん、帰るなら」と、被写体が私しかいないせいか、私に向かって何度もシャッターを切る。 私はというと、パソコンの中、顔認識できる女性の被写体を無言で撮り続ける。 「千花さん」 「……」 集中して、訊かないことにする。 「千花さん、目線下さい」 「集中できない」と、思わず声にだして睨んでしまった。