「千花さん。頭に桜乗っかってる」


私の頭を撫でるように払った。
フッと田原さんの笑顔を思い出して、私の中の神聖な場所が汚された気分になった。


「触らないで。広重」


「千花さん?」


「急にキスするとか有り得ない。セクハラだよ」


「セクハラですか。そんなに気持ち悪かったですか?」


「気持ち悪いっていうか。だって、そんなこと……」


「キスだけで動揺するなんて、千花さんって本当に可愛い」


「からかわないでよ」


「怒っても可愛い」と、広重があたしに顔を近づけるから、思い切り背けた。


「……千花さん。前から思ってましたけど。田原さんのこと好きなんでしょ?」


どうにか保っていた平常心が一気にかき乱された。
だから、年下は嫌いなんだ。