「千花さん」 桜の木の下、広重が立っていた。 こんなところでなにをしていたんだろう。 「広重」 「今帰りですか?」 と駆け寄ってくる。 「うん。広重も?」 「はい。じゃあ、行きましょうか」と、急に私の手を引っ張った。 「はっ?どこに?」 「花見」 「だから行かないし」 「千花さん」 「……」 「俺と二人だったら、いいですか?」