そんな彼女の姿がどうしようもなく愛しくて、目の前にあるぷっくりとした唇を親指で軽く押さえつける。
「ま、まさか、あの時に生気を……?」
顔の赤みが引かないまま、俺の手をバシッと思い切り叩くと両頬を包み込んで目をさ迷わせている。
俺が頷くと萌絵は恥ずかしそうな、でも申し訳なさそうな……
そんな表情を浮かべた。
「真琴くんはこのこと知ってたのかい?」
声のする場所がわずかに変わった気がして声の方へ顔を向けると、玲斗は草むらにうつ伏せていた。
両肘を立てた上に顎を乗せて両足をぷらぷらと揺らしている。
「そんなん知るわけないだろ」
「だよねぇ~」
玲斗は萌絵がしていたのと同じように、
薄い雲の中にぼんやりと浮かんでいる月を眺めている。
その横顔は普段の玲斗からは想像できないくらい、美しく、儚げだった。


