「なんだかんだで、楽しかった。
いい思い出になったよ、ありがとう」
「やめろよ……」
「お母さんにお世話になりましたって言ってて。それから――吉原さんにも、ごめんなさいって」
「なに……言ってんだよ。
まるで、最後の挨拶みたいなさ……」
ダメだ、声が震える。
俺っていつからこんなにコイツのこと……。
「なにそんなしんみりした顔してんの。
いつものアンタはどこにいったのよ」
いつもの俺?
そんなの、知らねぇよ……。
いちいち覚えてられっかよ……。
唇をかんで何も言わない俺の手を取ると、萌絵はふんわりと笑った。
「さよならだよ、真琴」


