ふいっとそっぽを向いた萌絵の肩を掴んで無理やりこちらを向かせると、その顔をのぞき込む。
「謝れ、萌絵」
「いや」
途端、まるで何かがプツリと切れたかのように俺の口から次々と言葉が出てくる。
「嫌とかの問題じゃない。いきなりキレて勝手に他人に八つ当たりして……。それが吉原を傷付けてるっていうことがお前には分からないのかよ!?この場の空気を乱してるのはお前なんだよ、萌絵!我慢できないことがあっても、少しは大人になれよ!」
突然の怒声に、周りの人達はいったい何事かと興味津々といった様子でこちらを見ている。
そして目の前の萌絵はビクッと体を震わせて顔を強ばらせたあと、力なく微笑んだ。
「そうだよね、勝手に怒り出したのも、楽しそうなこの場の空気を乱してるのも私。
ごめんね、迷惑かけちゃって。
もう、2度と迷惑かけたりしないから」
あ、と思った時には既に遅かった。
「萌絵……」
こんなはずじゃ、なかった。
こんな……萌絵を責めるはずじゃなかった。
ただ、少し指摘しようと思っただけだったのに。
「ごめんね真琴、玲斗くん……吉原さん」
「萌絵、」


