「吉原のは足が曲がってる。
それじゃあ、泳ぎの時に前に進めないぞ。
足はもっとしっかり伸ばさないと」
「難しいな……こう、か?」
「うん、もう少し……
あっ、今の良かったよ」
それから30分ほどバタ足の練習をしていると、なんとか形にはなってきた。
「次は――」
「真琴!」
息継ぎの仕方かな、と言葉にする前にそれは萌絵の声によって遮られてしまう。
「どーした?」
萌絵は形のいいさくらんぼ色の唇をきゅっと引き締めて、俺を睨む。
「真琴も泳ごうよ」
「悪いけど、俺はいま吉原に教えてるから。萌絵は玲斗とでも泳いどけ。な?」
よしよし、と頭を撫でようと手を伸ばすが
それは目の前の彼女の手によって叩かれてしまった。
初めてのことに俺も吉原も……もちろん遠目から見ていた玲斗も目が点になる。
「気安く触らないで!アンタは誰にでもそうするわけ?本当に有り得ないから!」
「……萌絵?どうしたんだよ、いきなり」


