そう、今日のコイツはしっかりと《生身の人間の姿》になっていた。
ということは、どこぞの女の生気をご馳走になったらしい。
「あれ、玲斗くんいたんだー」
驚いたように目を丸くして見ている萌絵。
「そうだよ。ずっと2人を尾行してたんだ。
……あっ、今日の萌絵すっごく可愛いね!」
尾行ってお前……
爽やかな顔して犯罪じみた発言すんなよ。
そんな俺の心の呟きが本人に聞こえるはずもなく……。
萌絵に 似合ってるよ、と 息をするように甘いセリフを言っている変態幽霊の玲斗。
「あ……ありが、と――……きゃあ!?」
頬を赤らめて目をそらした萌絵。
そして突然吹いた強風が、そんな彼女の麦わら帽子を攫っていった。
「わわわっ、待ってー!」
焦ったように帽子を追いかけていく萌絵。
そんな後ろ姿を見つめながら、玲斗はふんわりと笑った。
「萌絵が元気になってくれて良かった」
「……ああ、そうだな」
「真琴くんのお陰だね」
「別に。俺は何もしてねーし」


