「えー……と、そうか……?」 はははっ、と苦笑する。 さっきから視界にチラチラと入ってくるコイツ。 「季節はすっかり夏だねー、夏といえば海だよ、海っ」て言いながらふよふよ宙を漂っている。 「ほんと、気にするな吉原。 ただ羽虫がいただけだから」 「なんだ。ただの羽虫か」 「そうだ、羽虫だ」 それなら良かった、とニカッと笑った目の前の彼女は、先程までの暗い表情から一変して、真夏の太陽みたいに眩しい笑みを浮かべた。