振り返ると、
ももちゃんが駆け寄ってくる。
「どぉしたの?」
授業の相談?
でももっと仲の良い先輩もいるはずだし…
「わたし、好きなんです
リュウ先輩の事」
突然の告白に、
「なんであたしにそんなこと…」
答える声がうわずる。
「ルカ先輩彼氏いますよね?
ラブラブなんですよね!?」
声が大きくなるももちゃんに、
隠しきれない敵意を感じた。
「なんの事かわからないけど」
呟くように声を絞り出す。
「リュウも彼女いるよね」
俯いて、言葉を返せずももちゃんが固まる。
「また学校でね」
言い捨てて、歩き出した。
走り出したいけど、
一歩ずつ、ゆっくり離れる。
怖くて、振り返れない。
怖い?何が??
まっすぐにリュウだけを想うももちゃんに、
負けてしまいそうだからかな
マンションの入り口に手をかける。
「わたし、今からリュウ先輩の家に行きますから」
聞きたくない言葉が、
遠くに聞こえた。
