彼は、こちらに目を向けて
?「そういえばまだ、名前を言ってませんでしたね。僕は、立花 夏樹〔たちばな なつき〕と言います。ちなみに2年生です。」
風が吹き、桜の花びらがヒラヒラ私の前に落ちてきた。花びらをよくは見たことがなかったが、桜の花びらは、何故だかハートの形に見えた。
「…私は、葵 秋。私も…2年生。」
なんだか、会話が上手く出来なくなっていた。時間がとまってくれたらいいのに…。そんなことさえ思ってしまうほどだった。初対面の人なのに、安心する。一緒に居て落ち着く。
夏樹「じゃあ、秋さんって呼びますね。(ニコッ」
「(ドキッ さんなんてつけないでくださいよー。同い年なんですから、秋でいいですよ。夏樹君。」
夏樹「…じゃあ、秋で。」
お互い見つめあい、2人で笑いあった。夏樹君と話ていると、時間があっという間に過ぎていく。空を見ると、日が沈んで、辺りには星がチラホラあるぐらいだった。
夏樹「…ソロソロ帰りましょうか。送りますよ。」
手を差し出してきたが、私はその手を拒み、何故拒んだのかは自分でもよくは分からないが。
「大丈夫ですよ。家は、直ぐ近くなので。」
「…そうですか。じゃあ、また。」
夏樹君は、そう言うと手を下ろし私とは逆の道を歩いていった。
(そういえば、あの服って、学校のジャージ…だよね。)
彼の背中を見送ってから、私も元来た場所に戻った。

ジャージから、制服に着替えて校門に向かった。校門の前には、自主練習を終えた、ノエルが立っていた。
(少し、カッコいいと思ったのは内緒ですよ。)
「ノエル!お疲れ様。」
ノエル「…んー。」
何時もより、元気がなかった。疲れが溜まってるんだよね。