「っつ!い、痛い…。はな…して。」
夏樹「…細くて、白い腕。折れちまいそう…。なぁ、お前は俺を受け入れてくれるよなぁ。」
消えそうな声でそう、言われた。
何も言えない。だって、会って間もない人にこんな事言われて何か言える自信なんかないよ。何を言っても傷つけてしまいそうで。だけど、私は、
「…かわいそうな人。そう、言えば女の子が皆落ちると思わないで。」
キッと睨んだ。
今は、怖いと感じない。彼の本心ではないと分かったから。
夏樹「…思ってるよ。俺がこう、言えば女の子は皆落ちる。例え、落ちなくても男の方が力はあるんだから、簡単に逃げることはできないよね。」
ニヤッと笑った。不気味な笑みだった。
夏樹「それに、俺言ったよね。お前が羨ましいって。それは、事実だよ。羨ましくて羨ましくて、凄く憎くて。お前の幸せを奪ってやりたいって思ってるぐらいだからね。」
かわいそう…。そうすることでしか誰も彼のことを愛してくれなかったのだろうか。どんな風に育ってきたのか…。
「もし、受け入れる。って言っても、貴方は好きでもない人を抱くことはできるの?」
思いもよらないことを言われて少し戸惑っていた。が、
夏樹「…抱けるよ。何度もそうしてきたんだから、それに、お前の幸せが奪えるんならOKされなくても抱くけどね。」
そう言って、彼は私の唇に自分の唇を重ねた。
触れた時微かにコロンの香りがした。
夏樹「…どう、好きでもない男にキスされる気分は?」
「その言葉、そっくりそのままお返しいたします。貴方はどう思うの?」
私の態度が気に食わないのか、少し苛立っているように見えた。