リングが見えなくなるくらい辺りは暗くなっていた。その時、
?「ノエル…?」
俺たちは、ピタッと止まり、声のする方を向いた。
「秋。」
立花の方は、目を見開いていた。だが、1番驚いていたのは、
正人「あれ?秋ちゃんじゃん!」
そう言うと、正人は秋の方へかけ寄った。
秋「正人くん。」
秋と正人はしばらく話をしていた。はたからみればカップルみたいだよな…。
夏樹「…ここまでにしようか。暗くなってきて、リングが見えなくなってきたし。勝負は、県大会でやろう。」
そう言うと、立花は正人を連れて帰っていった。
秋がこっちにやってきた。
秋「ノエル?さっきの人って?」
「…何でもないよ。」
そう言って立ち上がり、俺は秋と一緒に帰った。
(ほぼ互角…ではなかった。あいつの方が一枚上手だ。県大会でもう一度ケリをつけてやる。次は絶対に白黒はっきりつけてやる。)
秋「…。」
この時、秋が心配そうに俺を見ていたのは、なんとなく視線で分かった。けれど、秋と俺は帰り道では一度も口を開くことはなかった。俺たちはそれぞれの家へ帰っていった。
それから、俺はとにかく強くなるためにずっとバスケをしていた。あいつに…立花に勝つために…。負かしてやりたい。初めてそう思った、最大のライバル…。
いや、ただあの言葉にイラっときただけなのか…。色んな気持ちが混ざりあっているが、まぁ、いい。次に勝つのは俺だから。