由紀「そうなんですか?てっきり両想いなのかと思ってました!帰りも一緒に帰ってるから。」
「…家が近いし、なんか昔から一緒に帰ってるんだよね。」
うん。昔の事を思い出してもやっぱノエルとばっかり一緒にいるんだよね…。
由紀「…じゃあ、もしも、ノエルさんに彼女とかが出来たら、一緒に帰るって出来ないですよね…。」
彼女はハッとした顔をしていた。しまったという顔なのだろうか。
「うん。そうだね…。その時はその時だから。」
私はまた、冬馬とノエルをみた。
ノエル「あぁぁー負けたー!」
その場にドシッと腰を下ろしているノエル。
冬馬「それじゃあ、約束通り帰りにアイス奢ってくださいねー。」
そのノエルを上から見下ろす冬馬。
あー、やっぱりこの距離が1番落ち着くなー。毎日、こんな風になっていればいいのに。
冬馬「おーい、秋姉、ノエルがアイス奢ってくれってサー。」
「ほんと!やったー!!」
ノエル「いやいや、秋に奢るとか言ってねぇんだけど…。」
口を尖らせながらノエルはブーブー言ってた。こういう所は子供っぽい。冬馬は相変わらずクスクス笑ってるけど。
「そうだ。由紀ちゃんも一緒に帰りどう?ノエルがアイス奢ってくれるみたいだし。」
由紀「いいんですか!わたしも!?」
「もちろん!」
うんうんと頷きながら片付けを由紀ちゃんとちゃっちゃっと終わらせ、ノエルたちが待ってる校門まで、少しだけ早歩きで向かった。
ノエル「ほいっ。アイスな。」
「ありがと」由紀「ありがとうございます。」冬馬「どーも。」
ノエル「つーか、残すとかはやめろよ?」
四人で色んな会話をしていた。帰り道の途中で、顔見知りの人とすれ違った。微かにコロンの香りがした…。
「…夏…樹…くん?」
思わず名前を呼んでいた。
振り返ると、夏樹君がその声に反応したのか、こちらを見る。
夏樹「久しぶり。今日はなんだか賑やかですね。」
ノエル「…立花…か。」
夏樹「やぁ、四ノ宮くん。中学の決勝戦以来だね。」
ノエルと夏樹君って知り合いなんだ。ってことはバスケ部だったんだ。
由紀「あっ、先輩この人ですよ。条土高校の立花 夏樹さん。アメリカからの留学生の。」