景色がピンクから、緑に変わる5月。顧問の先生である。紀田先生が
『今週の土曜日に、条土(じょうど)高校と練習試合を入れたから。』
それだけ、言うとすぐさま練習に入った。
かなりハードな練習メニュー…。条土高校とは、初めての試合。どんな選手がいるかは分からないけど、条土高校も全国へ必ず行くという強豪校らしい。
「どんな人がいるんだろう?」
審判をしていた時、ふとその言葉を口に出した。その言葉を聞いていた、後輩のマネージャーである。水嶋 由紀(みずしま ゆき)ちゃんが
由紀「条土高校って、最近ますます強くなっているって有名な高校なんですよ。それに、最近ではアメリカからの留学生が入ったって聞きましたよ。名前までは覚えてないんですけど。」
と、言った。
(アメリカからの留学生…。)
試合が終了し、部活が終わった。ノエルと冬馬は、練習すると言って体育館に残っている。
ノエル「冬馬!1on1やろ!」
人差し指でボールを回しながら冬馬を無理矢理引きずって1on1をしていた。
冬馬って嫌々ながら結構楽しそうにするんだよなー。そう思って2人を見ていると、
由紀「秋せんぱーい?何見て笑ってるんですかー?」
私が笑っているのを不思議に思ったのか、由紀ちゃんは私の顔を覗き込むように見ていた。
「んー、冬馬とノエルの練習を見てたんだよ。」
由紀「そういえば、冬馬君は秋先輩の弟さんなんですよね。」
「うん。そうだよ。ノエルとは幼馴染みでね、あの2人はよく一緒にスポーツをやっていたから。昔と変わらないんだなーって思ってさ。」
由紀「…先輩って、ノエルさんの事好きなんですか?」
んっ?なんで、そんな事聞かれるとは思ってもみなくて目を見開いてしまった。
「…好きじゃないよ。まず、ノエルに恋愛感情を抱いた事ないから。」
苦笑いしながら私は答えた。ただ、ずっと一緒にいたから、そういう感情を抱けれないんだ。今は、まだこの距離が1番いいと自分の中で思ってるから恋愛に発展しないんだろうっと思ってる。