帰り道は、嘘のように静かだった。ただ、聞こえてくるのはノエルと私の足音だけが耳に入ってくるだけだ。不気味なくらい静か…。私は、少しだけその場に立ち止まっていた。
ノエル「…あのさ、秋_____。」
ノエルが何かを言っていたが風の音によってかき消された。ノエルがこちらに振り返った。その時、どんな顔をしていたかは分からなかった…。ただ、優しい声だったのは覚えている。口を開けかけたけど、なんて言って良いのか分からなくて、黙っていた。
ノエル「…やっぱ、いいや。行くぞ。」
そう言うと、また歩き出した。その後もノエルとは一言も話さず、ただ自分の家に帰っていった。

___in家___
「ただいまー。」
春2冬馬『おかえりー。』
家には、当然のように冬馬と春樹兄と春人兄がいた。3人でゲームをしていた。ゲームが1番得意なのか冬馬は2人にボロ勝ちしていた。
稔「秋ちゃん、おかえり。」
のれんから顔を出し、それだけを言うと忙しそうに旅館の方へと戻っていった。
（大変そう…。）
何か手伝った方が良いんだと思うけど、なんだか今日はそんな気分でもなかった。自分の部屋へと向かった。自分の部屋に着くと、ベッドにダイブをした。だけど、一人になると思い出すのは夏樹君の事ばかりだった。
（もう、お風呂に入って、寝よ。）
寝ちゃえば何も考えなくていいし…。そんな事を思っていても、お風呂でも夏樹君の事でいっぱいだった。病気…ではないな______。そのままお風呂を済ませ、深い眠りについた。