千代紙の小鳥




水の中で躍り泳ぐ彼女の動きは、殆ど水の抵抗を受けていないかの様で。

けれどその殆どに入らない少しの抵抗でゆっくりと回転したりする姿を、同じくゆっくりと踊る髪の毛が全てに意志があるかの様に靡いている。


 トクン、トクン・・・


俺はただ、ずっと見ているだけ。少しずつ大きくなっていく心臓の音を感じながら。


 トクン、トクン・・・


心臓から運ばれた血液と共に熱が身体全身を駆け巡るのを感じながら、見ているだけ。



ザパァ、ン・・・


「やっと、逢えたわね。」







その妖しい声で海馬辺りに感じた熱い痛みに少し目を細めながらもただ、ただ。


「…。すい(水)」


未だ降りしきる雨の音の中、出来てはすぐ消える波紋の中、彼女の嫣然な表情にある碧い瞳の中、ただ、涙を零しながら名前を零した。