千代紙の小鳥




「あれ、?」


もう今年は使用しないため、そこへ続くドアは鍵がかけられているので誰も出ることなどできないはずの場所。


けれどその出入禁止の場所にちらっ、と長い髪を持った人影を見た。


何らかの理由で先生が、とも思ったがその人はずっと降っている雨の中で傘をさしておらず。それどころかーーー・・・髪の毛以外が肌色に見えた。


(人…全裸の…)


俺がいる廊下からプールのある屋上までは距離は直線で数十メートル、そして一階と四階の屋上という高さの違いだがあるし、間には沢山の大粒の雨が降っているので朧げにしか見えなかった。

なので見間違いだとは思った。傘も差さずに全裸なんてあまりにも非現実だ。


けれどその非現実がどうしようもなく気になってしまう。ありえないと思いながら俺の脚は隣の校舎へと向かって既に歩き出していた。