千代紙の小鳥


喧騒と友人の声が聞こえなくなった後、俺は二枚の用紙を鞄に入れて立ち上がった。


そのまま後ろ側の開け放たれているドアから廊下に出て、馬鹿広く湿気であの独特の音の鳴らない廊下を歩く。


(なんだったんだろうな)


先程の意識と音を不思議に思いながら今も意識は窓の外に向いていて。廊下の窓の外は教室からとは違う角度から見える中庭と雨。


ふと、足を止めて鍵の閉められた窓を開ける。ザー・・と雨声が大きくなって俺は雨を降らしている空を見た。

友人が言っていたような雲が上空に広がっていて。それを見ただけで少し気分が暗くなった。

はあ、とその落ちた気分を体外へ吐き出すように溜息をついて、視線をゆっくりと空から中庭へと下ろしていった。





と、その空と中庭の間で俺の目に入ったのは向かい側校舎の屋上。

その屋上にはプールが設けられていて、数日前までの夏季休業で今年の役目を終えたばかりだ。