「ごめん、ごめんね」

 私は涙の混じった声で、いなくなった彼に言葉をもらす。
 湿った音が、流れ出るままに私の周りを漂っていく。

 一緒にいたときはあんなにつらかったのに、失ってみると悲しさだけが溢れてくる。
 拭っても、拭っても拭っても、どこからともなく染み出し、心の隙間にたまっていく。
 口は、まるで締まりの悪い蛇口みたいに
 「ごめんね、修くん」
 また言葉をたれ流した。