何してんだよ。周りはこんなに応援してんのに、アンタのためにって尽くしてんのに、アンタ何やってんだよ。
こんなときにまで煙草かよ。死ぬ気かよ。
失礼だと思わねえのか。周りの人間に、悪いと思わねえのかよ。



家に帰ってきて煙草を吸う伊吹さんをはじめて見て、俺がキレたとき。


朔さんは俺を殴って連れ出して、静かに言った。


俺だって知ってた。
伊吹さんが命削ってがんばってたことも、それなのに全然良くならないでいたことも。知ってた。

だから、周りはこんなに応援して、……応援、して、?



衰弱していく伊吹さんにガンバレガンバレと呪文のようにあびせて、苦しむこともできなくなった伊吹さんを見ては、また自分たちの願いをぶつけて、?


あれ、それじゃあ伊吹さんの、願いは



「あのな、悠真くん」



後を追ってきたのは茅野とかいう医師。
そいつは言った。笑ってはいない。怒ってもいない。語りかけるように。


「医療に頼れば何もかもうまくいく訳じゃない」


クソガキの俺にも、分かるように。



「身体に良いこと、悪いこと。それを忘れれば、周りが本人にしてあげさられることはたくさんあるんだ」