その目が俺をとらえたとき、ここぞとばかりに俺は嫌味に笑ってみせた。



「伊吹さんは元気でしたか」


「……生意気な目だな相変わらず。悠真(ゆうま)」



この野郎、と軽く笑いながら俺を近くに呼ぶ。

火ぃあるっすよーと言うマサユキを押し退けて伊吹さんの正面に座ってやる。ベッドの上と下とじゃ目線はだいぶ違うけど。

そんな俺を見てサイドのマサユキとヒロは不服そうに身じろいで、伊吹さんは吹き出すようにまた笑った。
何だよコラ。



「まさか悠真が来るとはな」

「……あークセェ伊吹さんマジ」

「だから窓開けてんだろうが」

「自然にやさしくねえっすわ」

「何だといちばん自然にやさしくない頭の色しやがって」



伊吹さんはそう言って、真っ赤な俺の頭に手を置いた。ウルセーほっとけ。

そのままそこをワシャワシャ音が出るほどかきまぜやがる伊吹さん。
あーあ、ぐちゃぐちゃだ。やめろやめろ。


「……何なんすかマジで」

「いや久々だから」


散々かき回してからははっと笑い声をもらして、伊吹さんの手は離れた。

腕も指も細くなったけど変わらない。

でかくてあったけえの、この人の手。