キミノカケラ〜群青色の空と君と〜


◇◆◇


縁側で燃ゆる夕日を眺める。
風が冷たい。

それもそうだ。
世間はもうクリスマス目前。

此処は雪が滅多に降らない地域だけど、東北では昨年の積雪量を超えたとニュースで言っていた。



「サチ。ちょっと歩かない?」



仕事を終えて帰ってきたシュウの誘いで、私達は坂道を下りて海沿いの道をゆっくりと歩く。


前を歩くシュウが、足を止めて空を仰ぐ。

つられて私も見上げると、空はいつの間にか茜色から澄み切った群青色に染まっていて、思わず「うわぁ」と感嘆の声を漏らした。



「東京より綺麗な群青色だな」


「うん……私もそう思った」



都会と比べて此処は光が少なく、空気が澄んでるからだろう。
星も多く、一つ一つが煌めいている。

同じ空なのに、全くの別物に見える。



「初めてだよ。空が綺麗だと思ったの」



前は闇空にしか見えなかったのに。
今ならシュウと同じ、綺麗な群青色の空に見える。

この街に来て、シュウと、そして哲二さんと菜摘さんと暮らして。

私の心はだいぶ安定してきたんだと思う。



「言ったろ?俺が景色を変えてやるって」



そう言って、得意げに笑うシュウ。
だけど、すぐにその眩しい笑顔が曇る。



「緊張してる?」


「少しな」


「怖い?」


「怖くないって言ったら嘘になる」



シュウの髪が風に靡く。

シュウは海の遥か向こうを見るように遠い目をしながら、木製の柵に腰を掛けた。