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縁側で燃ゆる夕日を眺める。
風が冷たい。
それもそうだ。
世間はもうクリスマス目前。
此処は雪が滅多に降らない地域だけど、東北では昨年の積雪量を超えたとニュースで言っていた。
「サチ。ちょっと歩かない?」
仕事を終えて帰ってきたシュウの誘いで、私達は坂道を下りて海沿いの道をゆっくりと歩く。
前を歩くシュウが、足を止めて空を仰ぐ。
つられて私も見上げると、空はいつの間にか茜色から澄み切った群青色に染まっていて、思わず「うわぁ」と感嘆の声を漏らした。
「東京より綺麗な群青色だな」
「うん……私もそう思った」
都会と比べて此処は光が少なく、空気が澄んでるからだろう。
星も多く、一つ一つが煌めいている。
同じ空なのに、全くの別物に見える。
「初めてだよ。空が綺麗だと思ったの」
前は闇空にしか見えなかったのに。
今ならシュウと同じ、綺麗な群青色の空に見える。
この街に来て、シュウと、そして哲二さんと菜摘さんと暮らして。
私の心はだいぶ安定してきたんだと思う。
「言ったろ?俺が景色を変えてやるって」
そう言って、得意げに笑うシュウ。
だけど、すぐにその眩しい笑顔が曇る。
「緊張してる?」
「少しな」
「怖い?」
「怖くないって言ったら嘘になる」
シュウの髪が風に靡く。
シュウは海の遥か向こうを見るように遠い目をしながら、木製の柵に腰を掛けた。

