「サチ、ありがとう」と小さく掠れた声で呟くと、シュウは私の手を握り返した。
「サッちゃん。実は、君のお母さんにも連絡を取ろうとしたんだ」
菜摘さんが淹れ直してくれたお茶を啜ると、哲二さんが気まずそうに話し始めた。
「うちにもですか?」
「申し訳ないとは思ったんだけどね、学校に連絡してお願いしたんだよ。学校からお母さんに連絡を取ってもらって、うちに連絡をするように伝えてくれって。でも……」
哲二さんが視線を逸らすように、手元のお茶に目をやる。
その様子で、言われなくてもわかってしまった。
「連絡、来なかったんですね」
「……すまない」
「なんで哲二さんが謝るんですか。私、大丈夫です。もう慣れっこですから。あの人にとって、私の存在ってそんなもんなんです。透明人間みたいなもの。やっと目の前からいなくなってくれて清々してるのに、自ら面倒なことに足を突っ込むような人じゃないです」
これ以上気まずい雰囲気になるのが嫌で、わざとハハハっと笑う。
でも本当にその通りなんだもん。
あの母親には何も期待してない。
子供を本気で嫌いな親はいないって言う人がいるけど、それは違う。
中にはいるんだよ。本気で子供が邪魔で、憎くて憎くて堪らない親が。
「私はいらない子なんです。産まれてきたのは間違いなんですよ」
嘲笑しながら言うと、突然バシッ‼︎と頬を強く叩かれた。
リビングに乾いた音が響く。

