シュウは私を背に隠すように、カエデさんと私の間に立つ。



「カエデ。サチに手出したら怒るよ」



いつもよりも低い声と鋭い目付きにドクンと心臓が震える。

凄く怒ってる。シュウの背中からそう感じた。



「な、何?お前ら付き合ってんの?」



カエデさんはいつもと様子が違うシュウに怯んだのか、声を上擦らせる。



「付き合ってはない」


「はっ…ならシュウに口出す資格ねぇだろ」


「あるよ。俺がサチを見つけたんだ。俺にはサチを守る義務がある」



「行くよ、サチ」と、シュウに手を引かれて歩き出す。


カエデさんを振り返ると、眉間に皺を寄せて私達を睨み付けていた。



シュウの歩く速さについていけず小走りになりながら、外灯に照らされて光る金髪の後ろ姿をポーっと眺める。


助けてくれた。
私を背に隠すようにして、守ってくれた。

それが嬉しくて、胸がトクトク早鐘を打つ。



「シュウ」



名前を呼ぶも振り返ってはくれない。



「ねぇ、シュウ!」



もう一度呼ぶも、やっぱり反応はない。


一気に不安が押し寄せる。

シュウは私にも怒ってるんだ……
だから私のこと見てくれないんでしょう?