「いや……ね、今日シュウいないし……チャンスかと思って」



カエデさんは恥ずかしさを隠すように視線を彷徨わせながら、首の後ろをガシガシと掻いている。



「チャンス?」


「本当はサチホともっと話したかったんだ。いつもシュウといて、なかなか二人で話すタイミングがなかったから」


「あ、そうなんですか。声掛けてくれれば良かったのに」



確かに、私は広場に来ても常にシュウの隣りにいる。シュウから離れない。

だからシュウ抜きで誰かと話すなんてことはなかった。



「いやぁ…あのナイトが隣りにいたらなかなか、ね」


「ナイト?」


「何でもない!それより、最近サチホ変わったよな」


「そう、ですか?」


「うん。髪色変えてメイクして、正直驚いた。その、すっげぇ可愛くて……」



そう言って、カエデさんは顔を真っ赤に染めた。
ストレートな言葉に、私までボッと顔から火が出たように赤くなる。



「ああああ…ありがとうっ…ござい、ます…」



な、何これ……
凄い恥ずかしいんですけどっ。

可愛いだなんて言われたこともないから反応に困る。