「屋上から飛び降りたら楽になるかなって体を起こそうとした時、あの群青色の空が目に入ったんだ。純粋に綺麗だと思った。群青色の空はずっとそこにあったのに今まで気付かなかったんだ。無限に広がる空を見てたら、俺の悩みなんてちっぽけに思えた。まだ治らないって決まったわけじゃない。まだ希望はある。ゼロじゃない。そう思わせてくれたんだよ。生きたい、絶対治してサッカーやるんだって思ったら、自分から命を捨てるなんて馬鹿らしくなった。だってそうだろ?俺は試合を途中で放棄しようとしてたんだから」


「強いね、シュウは。私がもし同じ立場なら正直どうしてたかわからない」



私は多分、そんな風には思えない。
今だって、この空を見ても何の心境の変化もないんだから。


私は弱い。背中にのしかかる物が重過ぎて、私は潰れてしまうだろう。



「何言ってんだよ。サチだって弱いわけじゃない」


「私は弱いよ」


「弱くない。必死で戦ってるんだ。死に場所を探し続けてるけど、死んではないだろ?」


「それはただ、場所がないだけで」


「なら、なんでこの辺ばかり探し歩く?この辺りに誰にも見つからない場所なんてないことぐらい、サチもわかるだろ」