金髪男は睨みつける私から目を逸らさず、真っ直ぐに私の目を見据えてくる。
余りにも意志が強そうなその目に、私は少し唾を飲んだ。
「ああ、そうだよ。俺はサチに同情してる」
「…っ……」
「俺は偽善者なのかもしれない。でも、やっぱり自ら死ぬ選択肢なんて選ばないでほしいと思う」
金髪男は一息つくと、自分の開いた右の掌を見つめながら続けた。
「今まで苦しんだ分、諦めなければ絶対に絶対に幸せになれる。絶対に誰かが手を差し伸べてくれる。この世は冷たい人ばかりじゃない。温かい人だって沢山いるんだ」
「そんなの、信じられるわけない。私は温かい人なんて出会ったことがない。私の周りには、人の不幸を笑う人ばかりだった」
先生、学校の連中、助けを求めた警察官、公務員、すれ違う街の人……
皆、蔑んだ目で私を見てた。
手を差し伸べてくれる人が現れる?
諦めなければ幸せになれる?
はっ…そんなの、偽善者の思い込みだよ。
「俺がサチをそこから救い出してやる」
「……は?」
「今まで色んな人から貰った幸せを、俺がサチにやるよ」
「な、何言ってんの……笑わせないでっ」